マームとジプシー、DVD/Blu-ray 製作プロジェクトが始動

演劇作家の藤田貴大が率いるマームとジプシーが、舞台作品を初めてDVD/Blu-ray化する。
本プロジェクトは、「Lighthouse」と「cocoon(2022年版)」の2作をDVD/Blu-rayとして販売し、その製作に係るコストをクラウドファンディングで集めるものだ。
2013年、マームとジプシーは今日マチ子の漫画「cocoon」を原作に、沖縄戦に動員される少女たちに着想を得て作品を製作した。
以降も頻繁に沖縄へ足を運び、そこで流れる時間を見つめていく中で、「Lighthouse」「cocoon」という2つの作品が生まれた。
2022年2月には「Light house」を、7月に「cocoon」を東京芸術劇場にて上演。
今後10年の活動を見据えた上で、両作品とも長い時間と大きな予算をかけて臨んだものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、「Light house」は全16回のうち11回、「cocoon」は全9回のうち7回が中止となってしまった。
マームとジプシーが主催となり興行した東京公演は、約4500名分(Light house 1500名、cocoon3000名)のチケット収入を得ることができず、現在も最新作へのリハーサルや公演などを中止せざるを得ない状況が続いている。
本プロジェクトを通して、2つのことを実現したいと藤田は説明する。
公演を待ち望んでいたものの、ステージが中止になったことにより観劇の機会を失ってしまった人々を中心に、より多くの方々に作品を届けること。
10年にわたり沖縄という土地と向き合い作業を続けてきた時間を、先の未来に伝えていくために、記録という目に見える形で残すこと。
クラウドファンディングでは、2作品のDVD/Blu-ray化を目指し、今後時間をかけて5000枚の販売を目指す。
「マームとジプシーDVD/Blu-ray 製作プロジェクト」
クラウドファンディング期間:2022年12月17日(土)-2月26日(日)
*詳細は、以下URLをご確認ください。
https://camp-fire.jp/projects/598731/preview?token=3k8eqsuf&utm_campaign=cp_po_share_c_msg_projects_preview
「Light house」
2021年10月に沖縄県那覇市に開館した劇場「那覇文化芸術劇場 なはーと」のこけら落としシリーズとして、劇場と共同製作・発表した作品。
藤田の他に、現代美術家・小金沢健人、衣服や空間を制作する橘田優子(kitta)、フィールドレコーディングエンジニア・東岳志、写真家・岡本尚文、装丁家・川名潤など多くのクリエイターが作品の下に集まり、沖縄に流れる「今」という時間を見つめ一つの作品にした。
また、本作に取り組むにあたり、沖縄で営みを持つ多くの方々と対話の機会を多く持ち、それらを公演関係者の対談と共に「Light house Dialogue」として一冊のZINEにまとめてもいる。
公演特設WEBサイト:http://mum-lighthouse.com
「cocoon」
2013年夏、マームとジプシーは音楽家・原田郁子と共に沖縄戦に動員される少女達に着想を得た今日マチ子の漫画「cocoon」を原作に、少女たちの賑やかな日常が戦争によって否応なしに死と隣り合わせの日々へと変わっていく様子を描いた。
2015年には東京芸術劇場とマームとジプシーが新たにタッグを組み、沖縄含む全国6都市ツアーを開催。
2020年には再再演を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期となり、同じメンバーで約2年間の準備期間を設け、ついに2022年7月から9月にかけて沖縄や北海道を含む全9都市にて巡演した。
公演特設WEBサイト:http://mum-cocoon.com
藤田貴大
マームとジプシー主宰/演劇作家1985年生まれ。北海道伊達市出身。2007年、演劇ユニット「マームとジプシー」を旗揚げ。以降全作品の作・演出を担当。11年6月~8月にかけて発表した三
連作「かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと、しおふる世界。」で第56回岸田國士戯曲賞受賞。13年、15年に太平洋戦争末期の沖縄戦に動員された少女たちに着想を得て創作された今
日マチ子の漫画「cocoon」を舞台化。同作で2016年、第23回読売演劇大賞優秀演出家賞受賞。著書に『おんなのこはもりのなか』、『Kと真夜中のほとりで』、『mina-mo-no-gram』(今日マチ子との共著)『蜷川幸雄と「蜷の綿」』(蜷川幸雄と共著)他。2020 年7 月初の小説集「 季節を告げる毳毳は夜が知った毛毛毛毛」(河出書房新社) を上梓。
マームとジプシー
藤田貴大が全作品の脚本と演出を務める演劇カンパニーとして2007年に設立。2012年3月の藤田が26歳の若さで第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2012年より小説家、音楽家、歌人、漫画家、
ブックデザイナー、ファッションデザイナーなど様々なジャンルの作家との共作を発表。また、自ら主催する公演と並行して、彩の国さいたま芸術劇場や東京芸術劇場、那覇文化芸術劇場 な
はーとなどとも共同作業を行う。
http://mum-gypsy.com
December 16,2022