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『魅惑のコスチューム : バレエ・リュス展』 レポート

text : Kennko Matsudaira

 

 

六本木にある国立新美術館では6月18日(水)から9月1日(月)まで20世紀初頭パリで強烈なデビューをはたした伝説のバレエ団「バレエ・リュス(ロシアバレエ)」の衣装やデザイン画を中心とした約140点もの作品が飾られている「魅惑のコスチューム : バレエ・リュス展」が開催されている。

バレエ・リュスの衣装を大規模に紹介する日本でも初めての展示会である本展をアートやファッションといった視点から読み取ってみる。

 

 

 

 

 

セルゲイ・ディアギレフによって主催されたバレエ・リュスは当時パリで活躍していたピカソやシャネルといった若手前衛アーティストを取り込み新しいスタイルの「総合芸術としてのバレエ」というこれまでにはなかったスタイルを確立していく。

 

バレエだけでなくアートやファッション、音楽にも大きな革新と興奮をもたらしたアレクサンドル・ブノワ、レオン・バクスト、アンリ・マティス、ナタリヤ・ゴンチャローワ等が手がけた作品が年代別に飾られている。

 

会場に足をふみいれると最初はバレエ・リュスについての映像解説が流れていた。バレエ、バレエ・リュスの始まりなど事細かに歴史が語られており、主催者であり音楽、アートにも精通していたセルゲイ・ディアギレフがいかに伝説的偉業をなしとげたか、改めて理解することができる。

 

次に足を進めると仕切りが一切存在しない広大な会場に各演目ごとの衣装が展示されていた。何かのアトラクションに乗る前のようなワクワクした気持ちと、まるでこれからバレエが始まるのではないかと思わせるまばゆい衣装の輝きに目を奪われる。

 

1909年に公開されアレクサンドル・ブノワがデザインした<アルミードの館>の衣装は現代の軽やかなバレエ衣装のイメージとは異なりゴブラン織りや刺繍をもちいてどっしりとしたフォルムでデザインされていた。

 

ロシアの遊牧民の商人達をデザインソースにし、男性女性ダンサーともに伝統的な中央アジアの民族衣装に見られる文様と図形を万華鏡さながらに組み合わせてニコラス・レーリヒが衣装デザインした<ボロヴェツ人の踊り>。その美しい色合いは経糸に色糸を用いて織りこむ事によって表現されている。

 

<青神>の衣装制作を担当したレオン・バクストの作品は現代でいうオートクチュールのような繊細な手作業でシルク、モクレ、ベルベットやリボンなど様々な素材を用いてそれをとてもモダンに落としこんでいる。これほどまでに美しい衣装を手がけたレオン・バクストだが、主催者であるセルゲイ・ディアギノフのヴィジョンが一致しなくなったため、彼は次第にバレエ・リュスから遠のいていってしまった。

 

出口に近づくにつれ、フェルトやシルクリボンなど今までに使われなかった素材を使用した日本の着物を連想させるような袖のデザインで新しいフォルムを生み出していた作品が展示されている。ピカソが描いたチャーミングなパンフレットの表紙や見ているだけで楽しくなるミハイラ・ラリオーノフの作品。1921年に上映した<眠り姫>では、それまで衣装デザインから退いていたレオン・バクストが担当し豪華で華やかなデザインに仕上がっているようだ。

 

1929年セルゲイ・ディアギレフが死をとげた後に公演された衣装は刺繍が減り、素材も高価なものは使われなくなったが、パイピングで仕上げたジャケットなど細部までの徹底的なこだわりは彼が亡くなった後もしっかりと受け継がれていた。

 

1909年にパリで強烈なデビューを果たし、その後ファッションやアートの歴史に名を刻んだロシア・バレエ団、バレエ・リュス。何人ものアーティスト達が創りだした作品からは魂のようなものを感じたのと同時にファッションやアートに無限の可能性を改めて知ることが出来た。ぜひ本展に足を運び限りない可能性を感じてみるのはどうだろうか。

 

 

 

 

 

魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展
会期 : 6月18日[水]-9月1日[月]
会場 : 国立新美術館 企画室1E
開館時間 : 10:00-18:00 (金曜、8月16日[土]、23日[土]、30日[土]は20:00まで/入場は閉館の30分前まで)
休館日 : 火曜日(ただし8月12日[火]開館)
観覧料(税込):
一般 1,500円/大学生 1,200円/高校生 600円
展覧会ホームページ
http://www.tbs.co.jp/balletsrusses2014

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

July 9,2014