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インタビュー  Igor Termenón “Girls/Boys on film”

interview & text: Yoshiko Kurata

 

 

スペイン生まれのフォトグラファーIgor Termenón。現在はスコットランドを拠点とし、クリエイティブウェブサイト“Future Positive”の共同編集長も務めている。彼が大学時代から作り続けているZINE ”Girls on film” , ”Boys on film”。ガーリーでありつつも強さを持つ女の子、クールでありつつも可愛い一面を持つ男の子がフィルム独特の質感で描き出されている。文章は一切なくフィルム写真のみ掲載され、多くのフォトグラファーから送られてきた写真を選抜し、作り上げる“Submission”形式のZINEだ。代官山蔦屋オススメ雑誌にも選ばれ、今まで出したZINEから絞り込んだ写真を今年の夏には書籍として刊行したばかり。フォトグラファーになるまで、そして”Girls on film”を作るまでの流れやインディペンドマガジン、ZINEについて話を聞いた。

 

 

 

 

■写真に興味を持ったのは、いつ頃でしたか?大学などで写真は勉強されましたか?

 

写真に興味を持ち始めたのは、大学に通っていた頃です。独学で始めたので、実際に大学で勉強していたのは、写真と正反対の生産管理についてでした。写真を撮り始めたとき、大学で学んでいたこととバランスを取るために、もっとクリエイティブなことをしたかったんだと思います。僕はまず、友達を撮ることから始めて、その当時は、自分の好きなフォトグラファーを見習って撮影していました。そうするうちに、さらに写真に夢中になっていきました。

 

■最初は、デジタルカメラで撮り始めたそうですが、なぜフィルムカメラに変えたんですか?

 

ある日、フィルムカメラで撮ってみようと思い立って、そのままのめりこんでいきました。写真のフレームを学んだり、光の加減など知る機会として、自分にとってデジタルカメラからスタートしたのは、とても良かったと思います。今となっては、ノウハウを習得したので、写真を確認する前にフィルムで撮影しても、なにかがうまくいってないだろうと簡単にわかるようになりました。

フィルムのおかげで、最終的に自分のスタイルを見つけて、自分がやりたいことをさらに簡単に表せるようになりました。デジタルカメラは大変だって気づきましたし、デジタルカメラで同じような結果を残せたかどうかは分からないです。

 

■ZINEを作ろうと思ったきっかけを教えてください。そして、なぜ雑誌ではなく、ZINEを選んだんですか?

 

“Girls on Film”を始めたのが、大学の修士を学んでいる頃でした。写真を撮るのにあまり時間をさけなかったですが、まだ写真に携わっていたかったので、ZINEを作ろうと思いました。ずっと写真を編集する側に興味があって、他の人の作品をキュレーションしていて、ZINEをやろうと思いました。ZINEを選んだのは、僕にとって身近で作りやすいイメージだったからです。雑誌はとても高望みな気がしたので。あと、ただ写真を載せたくて、できるだけシンプルさを保ちたかったのもあります。シンプルさがGirls/Boys on Filmを成功に導いたと思います。

 

■“Girls on Film”のあとに、“Boys on Film”を始めたそうですが、ZINEの由来を教えてください。

 

“Girls on Film”の由来は、イギリスのロックバンド “Duran Duran ”の曲からきています。ぼく自身、80‘sの音楽が凄く好きで、ZINEの名前にぴったりだと感じました。ZINEを作り始めたとき、女の子のモデルを主に撮るフォトグラファーを見つけるのが簡単だったので、ただただ女の子にフォーカスしたかったんです。“Girls on Film”の最初の2号を出した後に、一度きりのものとして、“Boys on Film”を編集しました。そうしたら、”Boys on Film”をとても気に入ってくれた人々がいたので、“Girls on Film”とは違う出版物として続けていこうと思いました。

 

■インディペンドマガジンとしてやっていくに当たって、良い所と辛い所を教えてください。

 

良い所は、人々が気に入ってくれるのを肌で感じれること、ZINEへの感謝のメールをもらえるところですね。辛い所なのか分からないですが、とても時間がかかるけれど、好きなので制作する必要があり、なんの見返りも望まないところですかね。

 

■日本のほとんどの雑誌は、“submission”を設けてないですが、自分にとって“submission“は大事なものですか?

 

“Submission”は、“Girls on Film”にとって必要不可欠なものですね。時々、今まで聞いたことのないフォトグラファーの作品に出くわすときもあって、ZINEのために写真を何枚か送ってくれないかと頼むときもあります。しかし、残念ながら、毎号に向けてフォトグラファーを探すための十分な時間がないので、彼らの作品を送って来てもらうようにしました。そうすることで、受け取った写真から毎号に向けての写真を選べます。

 

■どういう基準で送られてきた写真をZINEに載せようと思うんですか?

 

説明するのが難しいですが、自分が‘Girls on Film“でやりたいことは自分自身が一番分かっています。写真を見たとき、瞬発的に僕のZINEに合うかどうか分かるんです。 ZINEの美的感覚を写真から見て分かるようにしたくて、そうすると読者が新しい号に何を期待できるか分かると思うので。

 

■今注目の若手のフォトグラファーを教えてください。

 

何人か選ぶのは、難しいですが、、、Yuvali Theis, Thomas Slack, Charlie Rubinが好きです。彼らはいつもGirls/Boys on Filmの表紙を飾っています。

 

■写真を撮っている、もしくはZINEを作っている若い子に向けてなにかメッセージかアドバイスを下さい。

 

写真やZINEが好きなら、ただそれをやること!もし、写真を撮ってるなら、自分自身のスタイルを見つけて、なにをしているのか他の人には言わないこと!もし、ZINEを作ってるなら、辛抱強く、そのとき世間一般で起きているものと何か違うことをしてみること!

 

■今後やる新しいプロジェクトやイベントはありますか?

 

今、とても多くの仕事を抱えています。昨日は、フランスの雑誌I Heart のグラスゴーについての撮影をしました。現像所から写真があがってきて、それを見るのが凄く好きなんです。僕自身グラスゴーをとても愛していて、今回の撮影で、なぜこの街を凄く好きなのか表すことができたと思います。

あと、グラスゴーに関係したまた別の新しい個人的なプロジェクトもおこなっています。今までに出会ったことのない人々とその日を過ごし、僕が彼らと過ごした時間を写真に収めている間、彼らが僕を彼らの好きな街の一部に連れてってくれるんです。最近、そのプロジェクトの2回目を撮影しました。年明けに向けて新しい写真を用意しています。そして、最後に僕が一番時間を費やし、共編しているウェブサイト Future Positive 。世界中からクリエイティブなタレントを見つけ出すためのプラットフォームとして活動しています。1月で1年を向かえるにあたって、さらに新しいコンテンツを増やし続けたいと思っています。

 

<関連サイト>

Igor Termenón :www.igortermenon.com

Girls on film/Boys on film:www.girlsonfilmzine.co.uk

オンラインショップ:

http://tsite.jp/daikanyama/ec/tsutaya/word/448/Girls%20on%20film/

http://tsite.jp/daikanyama/ec/tsutaya/word/103/boys%20on%20film/

 

 

 

 

 

November 30,2013

Photo : Thomas Slack

Photo : Yuvali Theis