QUOTATION

Futura 個展「GENERATION Z」

text and photo : daiki tajiri

© Futura, PASMO, 2019 (181.8×227.3×3.8 cm)

 

常に長い視点で物事を見据え、クリエイティビティによるコミュニケーションの可能性を追求し続けるグラフィティアートシーンのレジェンド、Futura(フューチュラ)の個展「GENERATION Z」が表参道にあるギャラリーThe Massにて12月15日(日)まで開催中だ。

 

1970年代ニューヨーク、サブウェイ・スクールやミューラルでのグラフィティ制作からアーティストキャリアをスタートさせた彼は、オンリーワンな表現スタイルと広い視野を持つマインドで自身の世界を拡張し、グラフィティはもとよりストリート全体への大衆の見方を変化させた。それは、かつて抽象絵画がワシリー・カンディンスキーの手によって1910年代に描かれ、芸術を楽しむことが一般化された様に、彼の作品はその抽象的表現にストリートのエッセンスを注入し誰ももが今まで誰もみたことのないラジカルなビジュアルを示した。彼はその後、世界各国で活動するストリートを拠点に置くアーティストのみならず、様々なカルチャーシーンに大きな影響を与え、そのひとつとして、近年にみるハイブランドとストリートが結ばれることにより誕生したムーブメントも彼の影響があることは言うまでもないだろう。

 

彼の表現の可能性を追求する制作領域は多義に渡る。「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」などのファッションシーンとのコラボレーションをはじめ「ザ・クラッシュ(The Clash)」のコラボパフォーマンス、セレクトショップ「コレット(colette)」のブック制作、「メディコム・トイ(MEDICOM TOY)」「ファンコ(Funko)」などとのプロダクトアートやコマーシャルアートなど挙げるときりがない。最近では今年9月に彼によるブランド「フューチュラ ラボラトリーズ(FUTURA LABORATORIES)」が、クリエイティブプラットフォーム「Co:Labs」との最新テックを駆使したコラボレーションイベントを開催したのも記憶に新しい。

 

ラテン語で「未来」を意味する「Futura」また、制作初期には既に自身を「Futura2000」と名乗っていた様に、彼は現在でも尚常に「未来」を見据え、様々な文化と自身のスタイルを結びつけ新しい取り組みを続けているのだ。

 

2000年に行われた「COMMAND Z」よりおよそ20年の時を経て開催された本展覧会「GENERATION Z」でも、彼の作品は我々に新鮮な体験を提供してくれるのは間違いないだろう。本展覧会の為に来日し滞在中に制作されたという、ギャラリーの壁を埋める27点のコミッションワークは、それぞれ彼の一貫したグラフィティスタイルを直接感じることができ、空間に鎮座する彼のアイコン、ポイントマン(Pointman)をモチーフにした立体作品も目を引く。それ以外にも彼のサインを模したネオンや、スケートデッキを被写体にしたアートワークなどが展示され、彼のストリートベースからなるクリエイティブの解放を示している。また、彼の息子であり13th Witnessの名で知られるフォトグラファー、ティモシー・マクガーの作品も同じ空間で展示されていることも興味深い。初の試みという親子合同展でもある本展覧会は今までのフューチュラの展示にはない空間を体感できる場ではないだろうか。

 

「グラフィティは自分の存在意義を確認するためのものだった。自分の名前を世界中に知らしめたかった。名を轟かせたかったんだ。ただ諦めずに創り続けること。立ち止まらず、ひたすらに創り続けるんだ。」

 

彼が語る、絶えないクリエイティブ精神で示される自らのアイデンティティが見事に空間として視覚化された貴重なこの機会に、実際に足を運び彼の作品と直接相対してほしい。きっと、ここでしか得ることのできない我々のアートに対する新しいビジョンを見出し、知見を広げさせてくれるに違いないだろう。

 

 

 

 

Futura(フューチュラ)

グラフィティというものが公のアートギャラリーに認められ始めた時代のパイオニアであるアーティスト、フューチュラ 2000(本名:レナード・ヒルトン・マクガー)は1970年代後半に早くもグラフィティにおいて革新的なアプローチ、すなわちそれ以前はレター(文字)を基本としたルールが存在していたのに対して、アブストラクトなスタイルを世の中に示した事で知られている。

彼のキャンバス作品は1980年代に注目を浴び、ジャン=ミシェル・バスキア、キース・ヘリング、そしてケニー・シャーフとともに大きなアートムーブメントの立役者とななった。彼は『サブウェイ・スクール』と呼ばれるニューヨークの地下鉄グラフィティシーンにおいてグラフィティを全て独学で覚え、彼の熟達した色彩感覚、幾何学的な構成、そして線はワシリー・カディンスキーの作品にたとえられている。そして、彼の友人でもあるドンディ・ホワイトやラメルジーとならび革新的で最新のダイナミズムを表現する作家として称えられている。

 

 

展覧会インフォメーション

Futura「GENERATION Z」
2019年11月16日(土)- 12月15日(日)
※休館日:火曜、水曜
会場:The Mass
東京都渋谷区神宮前5-11-1
営業時間:12 : 00 – 19 : 00
入館料:無料
HP : http://themass.jp/1/2019/

 

 

 

 

 

 

December 10,2019