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イッタ ヨダ 「降下する身体 記憶の断片」

text : daiki tajiri

 

パリ出身のヴァージル・イッタと東京出身のカイ・ヨダの二人からなるアートデュオIttah Yoda(イッタ・ヨダ)。彼らの日本初となる個展「body alights – a fragmented memory|降下する身体 記憶の断片」が東京・新宿のスプラウト・キュレーションにて12月15日(土)から1月20日(火)まで開催中だ。

 

お互いロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートにて出会い、写真と彫刻を専攻した後、2015年頃からイッタ・ヨダとして活動、先進的な素材とクラシカルな技法を混ぜ合わせ、ジャンルを超えた独自の表現を追求している。日本で2017年に、渋谷ヒカリエにて行われたスプラウト・キュレーション企画の展覧会「ポスト・リビングルーム」の参加をはじめ、ベルリン、ロンドンなどヨーロッパ各地で開催されている展覧会で作品を発表し、各国の媒体より注目を集めている。

 

今展覧会では、平面作品と一緒に、人工物でも自然物にもみえないオブジェクトがギャラリーの様々な箇所から生えるように設置され、天井からはVRゴーグルと、時折に光のパターンが変化する電飾プレートが垂れ下がっている。ゴーグルを除くと、ギャラリー内に生えていた立体作品が果てしなく我々を包み込む世界に誘われ、微かに鳴り響くBGMとともに、イッタ・ヨダが生み出す美しくも奇妙な世界観がそこには広がっている。

 

本人たち曰く、19世紀を代表する彫刻家オーギュスト・ロダンやその弟子コンスタンティン・ブランクーンの作品群を「内的な彫刻」と称え、制作にあたってのインスピレーションを受けているという。確かに、ギャラリーに足を踏み込むと、作家各々の持つ内面化そして抽象化された世界に引きずり込まれていく感覚に陥る。これは一人で活動する作家でなすことの出来ないであろう、アートデュオならではの、双方のアイデンティティが絶妙なさじ加減で絡み合うことによりうまれる、内的であってかつ両義性を含んだ興味深い作品である。

 

また、これらの表現が、VRデバイスをはじめとしたメッシュやシリコン、3Dプリンタを用いたポスト・インターネット的プロセスを採用しているのも面白い。作品制作への思想や技法に関しては、長年にわたり様々なアーティストが取り組み続けてきたものだが、現代という時代背景の要素を溶け込ませ、全く新しい視覚体験を観賞者である我々に提供してくれる。それはまるで、60年代の前衛芸術運動フルクサスでヨーゼフ・ボイスやナム・ジュン・パイクらが提示したような、芸術を「誰もが生きるために役立つ技術」として実践していこうという主張にも似た、多様化するテクノロジーを活かした、芸術に対する新しい解釈方法ともとることができる。

 

体験型展覧会がポピュラーになり、論理的で分かりやすいテーマを用いた展示が増えていく中、説明という概念以前に、鑑賞者の純粋なエモーショナルが揺れ動くような、本来芸術が持つパワーを彼らの作品と対峙したとき、改めて感じることができる。今展覧会で魅せられる、現代においてラジカルであると同時にパワフルな思想や表現方法は、未来を照らす芸術の持つ無限の可能性を我々に見出してくれるのだ。

 

 

展覧会インフォメーション

Ittah Yoda body alights – a fragmented memory|降下する身体 記憶の断片
2018年12月15日(土)- 1月20日(日)
※冬期休業:12月30日(土)~1月8日(火)
会場:Sprout Curation
新宿区西五軒町5-1 エーワビル3階
営業時間: 13:00 – 19:00(日曜日のみ17時まで)
入館料:無料
HP: http://sprout-curation.com/wp/wp/exhibition/ittah-yoda%EF%BD%9Cbody-alights-a-fragmented-memory/

 

 

 

 

 

January 8,2019