「THE TOKYO ART BOOK FAIR 2017」レポート
text, photo : daiki tajiri

©︎Elena Tutatchikova
2009年より、毎年多くのアートファンが注目するイベントがある。今回で9回目となる「TOKYO ART BOOK FAIR」(以下、TABF) は、今回から会場を東京・天王洲アイルにある寺田倉庫に会場を移し、10月5日(木)から10月8日(日)まで、約350組の出展者と様々なイベントが開催された。
過去最大規模となる今回は、国内外の出版社、書店、ギャラリー、アーティストが、各々の思想やイメージをアートブックに落とし込み、寺田倉庫の巨大な空間にぎっしりとブースを開いている。そこはコミュニケーションの場であり、表現活動の場だ。
アンダーグラウンドな雰囲気の会場では出展者と来場者はもちろんのこと、出展者同士、来場者同士のコミュニケーションで溢れかえっている。ここでしか出会えないユニークな1冊を見つけるにはもってこいの環境なのは間違いないだろう。
毎年、様々な国や地域の出版文化に焦点を当てて新鮮な感覚を伝えてくれる「ゲストカントリー」のブースでは、今回はアジアの中国、台湾、韓国、シンガポール4カ国をフィーチャー。普段なかなか見る機会がない、各国のキュレーターがブックフェアのために選んだ本を手にすると、その国のカルチャーのエキゾチックでコアな部分に触れることができる。
イベントとエキシビジョンが主のフロアでは、あまりメジャーではない「ダミーブック」の展示をみることもできた。シンガポールの写真に特化した文化施設DECKによるダミーブックアワード「Steidl Book Award Asia」を元に企画された展示は、ラフに垂れ下がった大判プリントをはじめとした展示方法が大変興味深い。また、小宮山書店の協力の元、横尾忠則がこれまで手がけてきた膨大な量の装丁・デザイン書籍が一堂に展示されているのも興味深かった。
TABFの企画以外にも、国際色豊かな出展者が集まるセクションではアジア圏出身の出展者のブースに人が多く集まっている状態が一際目立っていた。映画、音楽にも言えることだが、現在アジアのアートシーンの勢いが本や雑誌でも感じることを今回のTABFを訪れるとわかる。
また、今年は例年以上にイベントも充実していて、トークショーやパフォーマンスに加え、音楽ライブまで開催されている。ここは、芸術の多様性とアートブックの可能性をリアルタイムで体験できる場でもあるのだ。
4日間という短い会期であるが、インプットとアウトプットが共に溢れる環境をTABFは我々に提供してくれた。誰しもが表現を自由にできるようになりつつある現在、このような環境があることは大変重要ではないだろうか。来年はどんな新鮮な体験をさせてくれるのか期待が膨らむ。
THE TOKYO ART BOOK FAIR 2017
開催日:2017/10/05(木)〜 2017/10/08(日)
場所:寺田倉庫
URL:http://tokyoartbookfair.com
October 14,2017