QUOTATION

鍵岡リグレ アンヌ 個展「A Moment of Immersion」

text, photo : daiki tajiri

「Anne Kagioka Rigoulet, Reflection c-11, 2018, oil and mixed media on panel, 30x30cm, courtesy Sakurado Fine Arts」

 

東京・表参道にあるギャラリーSakurado Fine Arts東京にて、11月2日(金)から12月22(土)まで鎌倉を拠点に制作を行うアーティスト、鍵岡リグレ アンヌによる個展「A Moment of Immersion」が開催されている。

 

東京芸術大学大学院卒業後、フランスにて引き続き芸術のスキルをインプットし、現在鎌倉にあるアトリエで制作を行っている鍵岡。2年前に同ギャラリーで開催された個展「Reflection: 2015-16」をはじめ、フランス、日本、ラトビアなどでコンスタントに作品を発表し続ける彼女の作品は、その独特のスタイルで鑑賞する我々に、クリエイティビティ溢れた新しい視野を与えてくれる。

 

今展覧会では、2014年より彼女が制作している、国内外様々な場所に存在する水面の反射をモチーフにしたシリーズ「Reflection」より、以前までの鮮やかな配色とは異なる白と黒を基調にした色使いで、新しい彼女の世界観を表現する新作12点の発表となっている。

 

ダイナミックな絵の具の躍動感とコントラストの効いた色合いが目に入る彼女のミクストメディアアートはトーンが抽象化されても失われることなく、彼女が渡仏時に学んだというフレスコ画等にも通じつつも、油絵の要素も含めた、平面でありながら彫刻にも似たディティールも見受けられる。

 

そもそも、ギリシャ神話に登場するナルキッソスの物語やイソップ寓話の「犬と肉」、古代中国でも水面は自然の映し鏡として、様々な表現の場で覗いた人の姿だけでなく心までも映してきた。彼女の作品もまた、水面の反射が題材として描かれているが、そこに映るものは、抽象化された日常風景のイメージだ。

 

独自のプロセスから生まれる彼女の作品は、揺れ動く水面を描くだけでなく、またそれに映る風景を描くだけでなく、被写体から発生するエネルギーとパネルから浮き出る素材の本質が混ざり、フレッシュでディープなビジュアルを我々にみせてくれる。

 

光が差し込む会場Sakurado Fine Artsでの展示は、陽の動きによって素材が重ねられ盛り上がったディティールの影が動き、作品は表情を変化し続ける。それは、その場でしかできない体験であり、彼女の展示だからこそ体感できる経験に違いないだろう。

 

「A Moment of Immersion」というタイトルの通り、我々の感覚と意識を彼女の世界観に没入させる空間。彼女の作品に触れた時、我々に宿る何かもまた、美しく新鮮なものに違いない。

 

 

展覧会インフォメーション

鍵岡リグレ アンヌ 「A Moment of Immersion」
会期:2018年11月2日(金)- 12月22日(土)
会場:Sakurado Fine Arts 東京
150-0001 東京都渋谷区神宮前4-11-11
営業時間:11:30 – 19:00(日曜日・月曜日定休)
入館料:無料
HP: https://www.sakuradofinearts.com/ja/exhibitions/

 

 

鍵岡リグレ アンヌ(Anne Kagioka Rigoulet)
1987年神奈川県生まれ。2011年東京芸術大学絵画科油画専攻を卒業後、同大学大学院にて 壁画を研究。その後 2013年にフランスに渡り、フランス国立高等工芸美術学校にてフレス コ・モザイクを学ぶ。現在は鎌倉にアトリエを構える。主な個展に「Reflection: 2015-16」 Sakurado Fine Arts(東京、2016年)、「Anne Kagioka Rigoulet」Sakurado Fine Arts(パリ、2014年/東京、2015年)などがある他、フランス、日本、ラトビアなどでのグループ展や壁画プロジェクトに多数参加している。

 

 

December 4,2018