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Tokyo Rumando 写真展 「S」レポート

text, photo : daiki tajiri

 

セルフポートレートのスタイルをはじめ、独自の世界を作り続ける写真家、Tokyo Rumandoの最新作が東京・六本木にあるZen Foto Galleryにて3月2日より3月31日まで鑑賞することができる。

 

ヨーロッパを中心に高い評価を得ているTokyo Rumandoによる久々の国内個展のタイトルは「S」。モノクロ写真を中心とした作品群に映し出されているのは、かつて日本の夜に鮮やかな色を差し込ませていた劇場を思わせる景色または要素だ。展示物は、作家によって当時を再現するかのように自作自演された世界と実存する世界が混合してつくられたストーリーをもとに展開されている。リアルとフィクションが交差するその不思議な空間は我々を体感したことのない新しい感覚へと誘う。

 

展示物の素材、制作方法に注目してみるのも、写真作品の展覧会における楽しみかたのひとつだ。今展覧会の作品は、プリント制作の手法にも様々なプロセスが組み込まれている。例えば、写真集の原稿に使用されたという、ギャラリー中央に展示されている立体物の表面に貼り付けてある写真は藁半紙に印刷され、さらにその表面に作家の手により一枚ずつ蝋引き加工が施されている。また、壁にかけられた作品はさらに制作過程において何重にもフィルターをかけられ、少し古風にもみえる展示物は、クールなイメージのモノクロ写真に温かみを与えている。

 

今展覧会の開催されているZen Foto Galleryはアジアを中心とした写真家の展示を行い続け、欧米諸国よりも比較的アートコレクションとしての解釈が低い日本の写真作品シーンに新しい提案している。例えば、毎回の展覧会で丁寧に制作された写真集がそれぞれ販売される。今回の展覧会「S」の写真集もそのひとつで、展覧会と展示されている作品世界のイメージに沿って、印刷素材、手法をもこだわり製本されている。鑑賞した展覧会を手元にアーカイブすることにより、鑑賞後もアートを楽しみ学べるということを、受け入れやすくなる取り組みではないだろうか。ギャラリー内では過去の展覧会の写真集をはじめ、他の書店ではみることの出来ない書籍を多く取り揃えられているのも魅力的だ。

 

時間や天気によって表情を変える、壁一面がガラス窓で構成される展示空間は、誰も止めることのできない時間の流れをわかりやすく我々に提示し、そこに展示される写真作品は過去流れた時間の一瞬を鮮明に切り取っている。写真作品には過去の出来事を記録として残すのではなく、それ以上に新しいイマジネーションや感覚を目覚めさせる力が、他のアートジャンルよりも長けているではないかと、今展覧会で感じることができた。

 

 

■Tokyo Rumando
1980年、東京生まれ。2005年より独学で写真を撮り始める。自身のポートレートを主に撮影している。前作「Orphée」は2016年にロンドンのテート・モダンにて開催されたグループ展 ”Performing for the Camera”に出品された。主な個展に、「Hotel Life」(2012年、Place M)、「REST 3000~ STAY 5000~」(2012年、Zen Foto Gallery)、「Orphée」(2014年、TokyoLightroom、Place M、Zen Foto Gallery)、「I’m only happy when I’m naked」(2016年、Taka Ishii Gallery Photography Paris、2018年、Ibasho Gallery) などがある。また、Zen Foto Galleryより写真集『REST 3000~ STAY 5000~』(2012年)、『Orphée』(2014年)、『selfpolaroids』(2017年)を出版している。

 

■展覧会インフォメーション
Tokyo Rumando 写真展 「S」
2018年3月2日(金)- 3月31日(土)日・月・祝日休廊
開館時間:12:00 – 19:00
入館料:無料 
会場:Zen Foto Gallery
東京都港区六本木6-6-9ピラミデビル208号室
http://www.zen-foto.jp/web/html/about.html

 

■写真集
Tokyo Rumando 写真集『S』
15.5 x 23.0 cm | 136ページ | 禅フォトギャラリー刊(2018)| ソフトカバー、PUR、スリップケース付き | 日本語、英語 | 5,000円 (税込) |お問い合わせ info@zen-foto.jp、写々者(www.shashasha.co

 

 

 

March 18,2018

Tokyo Rumando “S” 2015-2016  ©Tokyo Rumando

Tokyo Rumando “S” 2015-2016 ©Tokyo Rumando