QUOTATION

アーティスト、wimpインタビュー

text, photo : Mahiro Wada

 

東京・鮫洲にあるクリエイティヴハブARTnSHELTERにて、9月23日から10月8日までアーティストwimpによるソロエキシビション『MUTANTS』が行われた。本展では、ペイントと3Dプリンターを用いたオブジェクトを展示。キャラクターをモチーフにした作品の数々は、様々なメディアを介して、その記号性を私たちに再認識させた。2016年に多摩美術大学を卒業し、現在東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術専攻に身を置く彼女は今、何を考えているのだろう。探り続ける表現、制作の話について聞いてみた。

 

『MUTANTS』ではどのような作品を展示しましたか?

多摩美術大学情報デザイン学科在籍中の卒業研究制作から、ペイント、1_WALLでも発表した『PACKING SERIES』などを、キャラクターである/でないの「間」ということをテーマに、それぞれ違う技法で表現した作品を展示しました。卒業研究制作の『キャラクターのヴィジュアルメイキングの考察と制作』では、キャラクターが行う予備動作 (例えば、ベティ・ブープはお辞儀をする時に一度身体を仰け反ってお礼をする)に着目して、キャラクターの記号としての特徴を強調させようとしました。『PACKING SERIES』はその反対で、その特徴をできるだけ隠そうと試みています。ブルーシートで包んだフィギュアを3Dスキャンし、CGデータ化しています。この作品のアイデアは、近所の公園を歩いていた時に、ブルーシートに巻かれたスプリング遊具を見たことがきっかけです。何故ここまできちっと巻いたのだろうとか、梱包されたことによって情報を隠匿されること、剥奪されることで却って意識してしまったり、愛おしく感じてしまい、面白いなと思いました。また、新作のペイントでは、パッキング前のモチーフをフォトスキャンで読み込んだ際に、自動的に認識されるパーツを描いています。私達たちはキャラクターを見たら、それをひとつのキャラクターだと認識しますが、ソフトウェアの場合にはそれをただの物として認識するため、パーツを区切って読み込む動作が行われます。今までのドローイングでも、キャラクターの目や手など記号的な部分を意識して描いているのですが、今回のドローイングでは実際的に機械から認識されたイメージを起こしました。

 

“キャラクターである/でないの「間」”とはなんでしょう?

例えば、今回の100均で買ったバルーンを使った作品は、袋から出したそのままのつぶれたものと膨らませたものを一緒に展示しています。袋から出した形を伴わないバルーンのように、私たちが物理的にメディアを攻撃する。そうすると、キャラクターはキャラクターとしてそこにはいません。また、映像でもフィギュアでもキャラクター自身の特徴を保てている状態ですが、それを引き伸ばしたり湾曲させたり、包み隠してみたりと追加のアプローチを行うことでキャラクターがキャラクターじゃなくなる瞬間が出てきます。それがキャラクターの死の状態であると考えています。その生死の瞬間を、アクションを加える行為で表現したいです。

 

キャラクターにまつわる思い出はありますか?

園児のころお楽しみ会があって、そこにピカチュウがいたんですけど。その時に単純に自分がゲームをしていてポケモンがすごく好きだったこともあって、当時はピカチュウに会えたことを嬉しく思っていました。でも今思い返すと、その時のピカチュウと本物のギャップはやっぱりすごくて(笑)「ピカチュウに会ったって、これで思ってたんだ」っていうことが結果的にすごく面白くて。それが今の制作にも繋がっていると思います。あと、以前インドネシアに旅行に行った時におもちゃを買い集めたのですが、ピカチュウに似たおもちゃがたくさん売られていたことを記憶しています。ピカチュウは生産が出来るものなので、逆に本物に似ていないピカチュウは唯一無二の新しいピカチュウなのだと感じて可愛く思いましたね。

 

今までのアーティストとしての経緯を教えてください。

大学では、与えられた課題と自分が好きなイラストとは分けて考えていました。情報デザインを授業で学ぶ一方、イラストを描いて友人と展示をしたりグラフィック系のイベントに参加したり。デザインフェスタにも一度出して、Tシャツも作っていました。卒業研究制作は自由だったので、そこで初めて学校で学んだものと自分の好きなイラストというテイストを合わせて制作しました。それからはそのまま作家としてやっていきたいという気持ちがあったので、大学院に行くことを決めました。大学院に入ってからは、アニメーションやカートゥーンからさらに広げてキャラクターにモチーフを変えて、立体造形を用いての考察もしています。

 

これからはどのような活動をしていきたいですか?

アーティストとして本格的にやっていきたいです。今回初めて個展をさせてもらって、いまは自分の作品を客観視して考える真っ只中にいます。外で発表することが増えて人に見てもらうことで、自分が考えていることもアップデートされていくと考えています。どんどん作品を作って、どんどん展示をしていきたいです。

 

 

 

next exhibition information
Nao Koike/wimp Exhibition
”dimension”
2017/10/26(thu)-11/5(sun) 11:00-20:00
東京都渋谷区桜丘町15-8 高木ビル412号室 Room_412
tel:050-5319-8428
access:渋谷駅南口より徒歩約5分
url: http://room412.jp/

 

 

 

MUTANTS by wimp
2017/9/23(sat)-10/8(sun) 15:00-23:00
東京都品川区東大井1-19-10 ARTnSHELTER
access:京急線 鮫洲駅より徒歩約2分
tel:03-3765-2288
url: http://artnshelter.com/

 

wimp
1992年生まれ
多摩美術大学美術学部情報デザイン学科情報デザインコース卒業
東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻在学中
第16回グラフィック「1_WALL」ファイナリスト(2017/ガーディアンガーデン)
キャラクターを通して、視覚情報と認知の研究を行う
web:http://wimp423.org

 

 

 

 

 

October 26,2017

wimp(展覧会会場にて)

wimp(展覧会会場にて)