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ROPPONGI ART NIGHT 2017 nor(ノア) 『dyebirth』展示レポート

text : kohei tsurumoto

 

 

9月30日(土)と10月1日(日)にかけて、六本木の街を舞台にしたアートの響宴「六本木アートナイト」が開催された。8回目となる今回は「未来ノマツリ」をテーマに、六本木ヒルズや東京ミッドタウンを中心とした六本木各地で、アート作品だけでなく、パフォーマンス、映像、音楽など、多様な作品が六本木の街を盛り上げる2日間となった。

 

その中でも、道行く人々が足を止めスマートフォンを片手に列をなして、ひと際目立っていた作品があった。クリエイティブレーベル「nor (ノア)」による、インスタレーション作品『dyebirth(ダイバース)』だ。

 

「nor」は、「3331α Art Hack Day」でチームを組んだことをきっかけに、建築家やデザイナー、エンジニアなどの7名によって2017年に発足。「共感覚」や「死生感」など、皆が感じているけれどはっきり説明できないようなものを、テクノロジーによって体験できる機会を作り上げている。必要に応じて、作品ごとのメンバー構成が入れ替わることもある。

 

今回の作品である『dyebirth』では、染めるを意味する”dye”によって、死生を表す”die “と”birth “、多様性を表す””diverse”を表現している。粘性の液体をベースにしたキャンバスに、水やインクなどのケミカル・リアクションを電子制御することによって、自然発生的な絵作りを生成するインスタレーション作品であった。

 

1970年にイギリスの数学者ジョン・ホートン・コンウェイが考案した生命の誕生、進化、淘汰までの一連のプロセスを簡易的なモデルで再現したライフゲームをもとにした滴下アルゴリズムによって、インクの入った装置が、キャンパス上にインクを垂らしていき有機的な模様を描き続けていた。

 

三原色のインクは組み合わさり、反発し合いながら鮮やかな世界を作り上げるが、やがて混じり合い黒となる。その一連の動きは生命の在り方そのものを感じさせるものであった。また、模様の変化に見られる、2つの自然現象の解説にも生物の現象との関連性を提示してあり、実際の科学者も参加しながら、表現に落とし込むという徹底振りを感じられた。

 

難解なものを、アナログとデジタルを使い体験として共感するものに昇華させ、また作品としてのビジュアル的な美しさも表現しきる完成度の高さに、多くの人は魅了されたのであろう。歓声をあげている鑑賞者の表情から、アートの可能性を再確認する場となった。

 

Teaser Movie
https://vimeo.com/236040464

 

 

 

 

 

プランナー/クリエイティブ・ディレクター:福地諒
ハードウェア・エンジニア:中根智史
ソフトウェア・エンジニア:松山周平
サウンド・プロデューサー:小野寺唯
アーキテクト/エクスペリエンス・デザイナー:板垣和宏
デザイナー:カワマタさとし
科学者:菱田真史
プロデューサー/プロジェクト・マネージャー:林重義

 

 

nor
creative label “nor”は、建築家、デザイナー、音楽家、エンジニアなど多様なバックグラウンドをもつメンバーによって2017年に発足。テクノロジーを活用して、一般化された定義では捕捉しきれない領域へのアプローチを探求している。研究で扱われる分野を多くの人が体験できる形に変換し、社会的な価値や可能性をアップデートすることを目的に、空間設計、インスタレーション、プロダクト開発など、手法に縛られない制作活動を行なっている。
https://nor.tokyo/

 

 

 

 

 

October 12,2017

nor (ノア) のメンバー

nor (ノア) のメンバー