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たかくらかずき個展 『有無ヴェルト』レポート

text, photo : daiki tajiri

 

東京・銀座にあるガーディアン・ガーデンにて、7月11日(火)から8月4日(金)まで、「たかくらかずき個展 『有無ヴェルト』」が開催されている。ガーディアン・ガーデンの公募展入賞者の中から、各界で活躍する作家の、その後の活動を伝える「The Second Stage at GG」シリーズの45回目となる展覧会だ。

 

ギャラリーの展示としては珍しい、デジタル表現を駆使した会場の作品には、一つ一つにアーティストの思想が丁寧に込められている。地下にある展示会場に入ると、東京の大都会から一線を画した現代のビジュアルアートによって生み出されたアンダーグラウンドの世界を体感することができる。

 

フレームに収められた作品の数々は、絵文字や、レトロゲームを連想させるドット絵で構成されている。細部まで凝ったグラフィックアートに見えるが、カオスでシンメトリックなさまは宗教画にも似た神々しい雰囲気を感じる。

 

「環世界(umwelt)」が今回の展覧会テーマだ。Photoshopで製作した作品を通して、人間とは異なるPhotoshopだけが認識可能にした知覚世界を表現しているとたかくらは言う。

 

印象的なレンチキュラー作品は、移動しながら見ることによって絵柄が変化する。人の目から見て普段動かない建物や、植物が主に変化しているのがまた興味深い。ひとむかし前のポスター広告や、お菓子のおまけカードなどでよく見られたレンチキュラー印刷という手法に、我々は一瞬ノスタルジックな印象を受けるが、現代のSNSなどで多く使用されているGIFに似た雰囲気を物理空間の中で感じられ作品の新鮮さに気がつく。

 

作品を構成するドット絵のモチーフは、我々が一目で把握できる動物や植物などである。ギャラリーの中央に展示されているモニターには、ドット絵で描かれた動物や植物を素材として、解体、再構築し、新たな世界が作られている。モニターにつながったコントローラーによって、その世界の中を探検することができる。

 

ギャラリーの中で特に目立つ作品として、バーチャルリアリティ(VR)作品がある。メディアアーティストのゴッドスコーピオンとのコラボレーションによって実現したこの作品は、VR技術という新たなテクノロジーを利用した、新しいアート表現だ。

 

リアリティのある異空間を追求するVR技術を使用したゲームやアトラクションとは異なり、この作品ではヘッドホンとヘッドマウントディスプレイを装着した瞬間、想像を超えた世界というよりも、想像することのできない世界を体感する。ドット絵で表現された平面の世界がVR技術により、3次元の空間で不思議な音楽とともに実現し、その世界に我々は迷い込む。

 

直接展示会場に足を運ばなければ、そこに展示されている作品の魅力やパワーが伝わらない。この展覧会は特にそれが言える。現在、パソコンやスマートフォンのディスプレイで作品の画像を見ることができることが多くなったが、画像や動画で表現しきれないアート作品があるということを今回の展覧会では改めて実感できる。

 

 

 

 

たかくらかずき個展 『有無ヴェルト』
会期:2017/07/11(火)〜 2017/08/04(金)
時間:11:00〜19:00 日曜・祝日休館
会場:ガーディアン・ガーデン
住所:〒104-8227東京都中央区銀座7-3-5 ヒューリック銀座7丁目ビルB1F
TEL:03-5568-8818
URL:http://rcc.recruit.co.jp/gg/
主催:ガーディアン・ガーデン
協力: HTC NIPPON 株式会社、株式会社マウスコンピューター、株式会社マル・ビ

 

 

たかくらかずき(Illustrator/Artist/Game creator)
第7回グラフィック「1_WALL」ファイナリスト。ドット絵やデジタル表現をベースとしたイラストで、音楽、CM、書籍、WEBなどのイラストや動画を制作。劇団「範宙遊泳」ではアートディレクションを担当。「宇宙冒険記6D」で初の脚本を担当した。個人作品ではプリントやレンチキュラーシートを使った作品などを制作。pixiv zingaroにてグループ展「ピクセルアウト」を企画/主催。2016年より「スタジオ常世」の名でゲーム開発を開始、「摩尼遊戯TOKOYO」を開発中。

 

 

 

 

 

 

July 18,2017