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「平成28年度 武蔵野美術大学 造形学部卒業制作・大学院修了制作 優秀作品展」 レポート

text, photo : daiki tajiri

 

4月4日(火)から4月29日(土)まで、東京の武蔵野美術大学美術館にて、「平成28年度 武蔵野美術大学造形学部卒業制作・大学院修了制作 優秀作品展」(以下、優秀作品展)が開催されている。

 

武蔵野美術大学では、造形学部卒業制作および大学院修了制作を卒業前最後の学内課題として、その年の卒業生が取り組み、完成作品は大学全体が展示会場となる「卒業・修了制作展示」にて発表される。中でも特に優れた制作や研究に対しては優秀賞が贈られ、優秀作品展ではその受賞作品が再び大学美術館にて一堂に会する。

 

美術館に入った途端、我々はあまり体験したことのない空間に包まれる。それもそのはずで、会場全体には様々な芸術分野を深く追求した作品が所狭しと展示されていて、それらはあらゆる素材や技法が使用されている。

 

絵画や彫刻、建築模型、クラフト作品、プロダクトやファッションのデザイン、写真作品の展示、アニメーションをはじめとした映像作品の上映、パフォーマンスやプランニング、論文までもが展示されているのも面白い。これだけの質量でジャンルを問わず作品を展示する展覧会は他を探してもなかなか見つからないだろう。

 

この展覧会では、展示構成で驚かされることも多い。展示作品のジャンルのみを聞いていると「カオス」というワードが浮かぶかもしれないが、この展覧会には不思議な統一感がある。例えば、絵画作品を中心に展示しているフロアでも、壁一枚を挟んでインスタレーション作品、写真作品やクラフト作品が展示され、その他にも普段では同じ空間にあることの少ない作品が違和感なく同じスペースに収まっている。

 

優秀作品展の歴史は1967年から約50年間あるが、その年特有の展示方法を見るのも楽しみの一つだ。今年は、美術館を抜けた図書館テラスでも展示が行われている。心地の良い春の風に触れ、桜の木を眺めることができるスペースにも、パワフルな作品が並ぶ。

 

また、現代のディープなユースカルチャーを知る上でも優秀作品展は大きな役割を担っている。各々が好きな分野を新しい視点から表現し、我々のアートに対しての視野を広げてくれる。しかも、作者の斬新なアイデアは少なくとも大学卒業というターニングポイントの上にあり、この事実は後にも先にも変えることができない。この展覧会では、紛れもなく今の若者のアートに対しての思いや考えを身をもって体験することができるのだ。

 

優秀作品展は展示形式として、コレクション展などと似ていると思われがちだ。確かに、様々なジャンルの作品が一斉に展示されるという意味では似ているかもしれない。しかし、優秀作品展は一つ一つの作品に新鮮さと未来への期待が込められている。恐らく、作者の多くは、大学生活の集大成として作品を制作したのではないだろうか。それは、大学もしくは大学院を卒業する上で、作者本人の表現活動のゴールともスタートとも見て取れる。

 

実際に足を運んでみて、純粋に何かに取り組むことに対しての意欲や情熱を持ち、それをアウトプットすることの素晴らしさを感じた。この展覧会をみて、何か新しい発見ができた人もいるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

■ 展覧会インフォメーション
平成28年度 武蔵野美術大学 造形学部卒業制作・大学院修了制作 優秀作品展
開催期間:2017年4月4日(火)~ 2017年4月29日(土・祝)
時間:10:00~18:00(土曜は17:00閉館)
開催場所:武蔵野美術大学美術館 他
東京都小平市小川町1-736
URL:http://mauml.musabi.ac.jp/museum/archives/11094

 

 

 

 

 

 

 

 

April 14,2017