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アーティスト 佐久間優季  インタビュー 

interview, text, photo : daiki tajiri

 

 

東京・代官山のLOKO GALLERYにて、今月美大を卒業したばかりのアーティスト・佐久間優季の個展が3月24日から4月4日まで開催されている。今回展示されている彼女の最新作は、彼女自身が新たな一歩を踏み出したと思わされるような、華麗でパワフルな空気で満たされている。それは、ギャラリーに足を踏み入れた我々を、まるで自身が作品の一部になったような新鮮な感覚に誘う。本展のような立体作品の制作のみならず、演劇公演やパフォーマンスをはじめとした舞台芸術にも表現活動の場を広げている彼女に、作品への思いから未来のビジョンまで様々な話を聞いた。

 

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■今回展示されている作品について教えてください。

この作品は、今私がやりたいと思っていることを素直に形にした作品です。もともと華道をやっていたので花に興味がありました。作品のモチーフである木蓮は今の季節、つまり門出の時期に咲く花であり、それを自分と重ね合わせました。また、今まで舞台美術を勉強してきた中で、アートにおけるオリジナリティの重要性を知り、自分のオリジナリティとは何かを考えた時に、役者が立って成り立つセットのように、空間の中に人が入って初めて作品になるものを作りたいと思いました。今回の作品は立体作品ともいえますが、インスタレーション的な側面も持っています。作品に触れた人の感情やそこに立つ感覚が生まれた時に、この作品が完成すると考えています。

 

 

■今年1月に行われた武蔵野美術大学卒業・修了制作展をはじめとした他の展示場でもこの作品を展示していたと伺いましたが、今回の展示との違いなどはありますか。

「空間による作品の見え方の変化」は、今回の制作を通して得られた発見の一つでした。空間を意識して作った作品なので、やはり展示する場所によって見え方が全く変わります。しかも、私自身も実際に展示場に作品を持って行って設置してみなければ分からないので、自分の作品の新しい見え方を発見できた時はとても新鮮な気持ちになります。特に今回の展示では作品を下から見上げるだけでなく、上からも覗くように見ることができるので、作品の楽しみ方が広がります。

 

■舞台美術に興味を持ったのはいつ頃ですか。

なんとなく中学生から高校生の時期に物語を空間に変化させ立ち上げる舞台美術やセットデザインに対して興味を持ち始めていました。ただ、演劇自体を沢山見ていた訳ではありません。演劇部などに入ったことはないですし、同世代で私よりも演劇について詳しい人はたくさんいると思います。私は演劇や舞台が好きで舞台美術に興味を持ったというよりは、美術が好きで舞台美術に興味を持った感じなので。

 

■様々な空間芸術があると思いますが、そのなかでなぜ舞台美術に惹かれたのでしょうか。

舞台上の空間は、映画やテレビドラマとは違って物語がライブで進んでいき、そのなかでシーンが変化していきます。なかでも舞台美術は一つの場面を作るだけではなく、人の絡みや物の移動を利用して別の場面に見せる。その余白に惹かれました。

 

■尊敬する舞台美術家はいらっしゃいますか。

大学の学科の教授である、堀尾幸男さんです。舞台美術の面白さや可能性を教えて頂きました。舞台美術においてご自身の長い経験や技術に固執することなく、新しく生まれてくるアートの多様な考え方や概念にも寛容な姿勢をお持ちだからです。今回の作品を制作するにあたっても様々なアドバイスを頂きました。

 

■大学卒業後も自身の活動を積極的に展開していくということですが、舞台関係の業界への就職などは考えなかったのですか。

自分自身の目標と、それを目指したいという勢いが一番強くありました。舞台業界に入りたいのであればそれに向けた就職活動を行ったかもしれません。しかしどちらかというと、舞台芸術の一部として美術をやっていきたいというよりは、舞台そのものを美術だと考えている部分があります。固定された劇場に囚われずにアートとしての演劇を一から自分で作り出し、外に連れ出したいと思いました。

 

■今後挑戦してみたいことなどはありますか。

現在展示している作品に近いものを今後も作り続け、パフォーマンスや演劇と組み合わせて、アートと演劇の狭間という立ち位置で舞台美術の可能性を広げていきたいと思っています。また、海外へ留学し、舞台や演劇が幅広く根付いている土地での制作活動やパフォーマンスを行ってみたいと思っています。

 

 

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彫刻作品やインスタレーション作品などを扱った展示はよく行われているが、舞台美術を取り上げた展覧会は少ない。それは彼女曰く、舞台美術の多くは公演の終了とともに解体されることを前提に作られているからだそうだ。そのような背景もあってか、彼女の作品は我々に一つの作品と向き合う時間の大切さをも教えてくれる。

 

 

 

 

展覧会インフォメーション
佐久間優季 / 重たい春
会期:2017/03/24(金)〜 2017/04/04(火)
火〜土 11:00〜19:00
開催場所:LOKO GALLERY 東京都 渋谷区 鶯谷町 12-6
電話:03-6455-1376
URL:http://lokogallery.com
ACCESS:東急東横線 代官山駅 正面口より徒歩6分
京王 / JR / 東急 / 東京メトロ 各線 渋谷駅より徒歩10分

 

Yuki Sakuma/佐久間 優季
2017 武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科 卒業

主な展覧会など
2017 いしおかの里山アート展
2017 武蔵野美術大学卒業・修了制作展
2016 演劇公演『君に代わって嘘を言う』
2016 有志展示パフォーマンス『ARGO』
2015 有志グループ展『妄想演劇展』

 

 

 

 

March 29,2017

佐久間 優季

佐久間 優季

佐久間 優季

佐久間 優季

「佐久間優季 / 重たい春」展示風景

「佐久間優季 / 重たい春」展示風景

展示風景:作品の足元には佐久間自身の書いた詩が置かれている

展示風景:作品の足元には佐久間自身の書いた詩が置かれている

LOKO GALLERYでは一階に隣接したカフェ「私立珈琲小学校」でコーヒーを飲みながら作品を鑑賞することが出来る

LOKO GALLERYでは一階に隣接したカフェ「私立珈琲小学校」でコーヒーを飲みながら作品を鑑賞することが出来る