QUOTATION

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016レポート / 2017作品募集スタート!

text : asako tsurusaki

『タンナ』 ©2015 Contact Films

2016年も様々な映画祭が国内で開催された。なかでも若手作家にビジネスチャンスを与える映画祭として定評のあるのが、Dシネマ(デジタルシネマ)にフォーカスした日本初の国際コンペティション映画祭「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」だ。猛暑真っ盛りの7月に開催された本映画祭はこの年、国内外から過去最多の応募総数を記録し大いなる賑わいを感じさせてくれた。キルギスやノルウェー、バヌアツや中国など色とりどりの世界を見せてくれた長編部門、またこの年より新たに始まった企画「特別招待作品」から、印象的だった2作品を紹介したい。

 

 

[長編コンペティション部門]
『タンナ/Tanna』
監督:ベントレー・ディーン、マーティン・バトラー
出演:ムンガウ・ダイン、マリエ・ワワ、マルセリン・ロフィト
(2015年/オーストラリア、バヌアツ/104分)

バヌアツ史上初めて全編にわたり本国で撮影され、またヴェネチア国際映画祭の批評家週間コンペティションで最優秀賞にあたる観客賞を受賞したことでも開催前より話題を呼んでいた作品『タンナ』。南太平洋に浮かぶバヌアツの秘境タンナ島を舞台に、大自然に護られて昔ながらの暮らしを続ける部族における男女の悲劇が、現地の住民をそのままの役で起用した臨場感あふれる映像で描かれ、見事本映画祭で監督賞を受賞した。

自然豊かなタンナ島で暮らす美しい娘ワワ。彼女は族長の孫ダインと密かな恋に落ちるが、部族間の争いを抑える和平協定のため、別の部族の男と婚約させられてしまう。しきたりによって自由恋愛が認められないこの地で、若い二人は駆け落ちを決意するが…。

ドキュメンタリー映画のバックグラウンドを持つベントレー・ディーンとマーティン・バトラーによる初めての劇映画。2人は7ヶ月もの間タンナ島に滞在し、現地に住む人々と同じものを食べ、話をし、彼らに伝わる物語を聞いた中から、世界の観客が楽しめる物語を作り上げたという。

「タンナ島の一部の人々はいまも昔ながらの伝統や文化、習慣を守って生きている。私たちは、観客の皆さんに、世界にはこういう場所や生活があることを知ってもらいたいのです」。(プロデューサー:キャロライン・ジョンソン)

荘厳な大自然の中、強い絆で結ばれた彼らの”血”と”地”に根付いた生き方は、SNSやデジタルにより”個”として乖離した状態で生きている私たちから見て、とても厳しくも神秘的にも映る。実話を元にしたこの悲劇以降、この村では自由恋愛が認められることになった。

 

 

[特別招待作品]
『I PHONE YOU』
監督:タン・ダン
出演:ジャン・イーエン、フロリアン・ルーカス
(2011年/中国、ドイツ/90分)

次に紹介するのは、『タンナ』と真逆のコミカルな現代劇『I PHONE YOU』。iPhoneだけで繋がった恋人を探して中国・重慶からベルリンへと旅立つ行動的でキュートな娘リンが巻き込まれる数々のピンチを、ドイツ在住の中国人女性監督タン・ダンが生き生きとしたタッチでラストまであっという間に描き抜く。

ピエロの格好で花束の宅配サービスをしている重慶の若い女性、リン。彼女はベルリンからきた中国人ビジネスマンと一夜をともにするが、彼はiPhoneを彼女に贈ったままひとり帰国してしまう。iPhoneで連絡を取り合っていたリンだったが、もう一度会いたい気持ちを抑えきれず、一人、ベルリンへと旅立つ。しかし空港で出迎えたのは、彼の部下でマルコというドイツ人の男だった。彼女の世話をするよう命じられている彼の目をかいくぐり、リンはベルリンの街にさまよい出る…。

これまでに数多くのドキュメンタリー映画を手がけてきたタン監督は、まるで迷子になった猫の様にベルリンの街を駆け巡るリンの姿を通し、ベルリンの様々な有名スポットや路地裏、またそこで生活する移民たちの姿などドイツの現状がリアルにスケッチしてゆく。タイトルの『I PHONE YOU』は、スマートフォンの“iPhone”と、“私があなたに電話をかけます(けれど、あなたからはかけてこないでほしい)”という二つの意味をかけているという。この意味はあっと驚くエンディングで明らかになるのでお楽しみに。

 

 

そんなSKIPシティ国際Dシネマ映画祭は2017年も開催が決定。14回目となる「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017」のコンペティション3部門(長編・短編・アニメーション部門)の作品募集が既にスタートしている。本映画祭をきっかけに羽ばたいていった新鋭たちに続くのは、どんなクリエイターたちになるだろう。もし腕に自信のある者がいたら、このお祭りの立役者に躍り出てはいかがだろうか。

 

[SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017]
会期:2017年7月15日(土)~7月23日(日)
www.skipcity-dcf.jp

 

[作品応募について]
〆切:3月1日(水)必着
詳細は映画祭公式サイトより

 

 

January 7,2017

『タンナ』 ©2015 Contact Films

『タンナ』 ©2015 Contact Films

『タンナ』 ©2015 Contact Films

『タンナ』 ©2015 Contact Films

『I PHONE YOU』 ©Ray International (Beijing) LTD.

『I PHONE YOU』 ©Ray International (Beijing) LTD.

『I PHONE YOU』 ©Ray International (Beijing) LTD.

『I PHONE YOU』 ©Ray International (Beijing) LTD.

『I PHONE YOU』 ©Ray International (Beijing) LTD.

『I PHONE YOU』 ©Ray International (Beijing) LTD.