QUOTATION

ロンドンで開催されたスズキユウリによる親子のためのワークショップ/レポート

text&photo:Noriko Fujioka

お母さんと一緒に色を塗っていく子。

 

ロンドン西部の公園、ケンジントンガーデンズの中に位置するSerpentine Gallery。コンテンポラリーアートの展示をおこなうギャラリーながら、その客層は幅広く、コアなアートファンに観光客、散歩の途中にふらりと訪れる人まで実にさまざま。 「Family Day」は同ギャラリーが定期的に小さな子供のいる家族連れ向けに開催しているイベントであり、ギャラリーの展示と関連した内容のワークショップが行われ、親子がコミュニケーションをとりながら、アートに触れる試みとなっている。

 

2月12日の「Family Day」には同ギャラリーで開催中のブラジル人アーティストLygia Papeの展示に合わせ、日本人アーティストスズキユウリが登場。音と色をテーマにした彼の作品、『カラーチェイサー』を実際に子供たちに使ってもらうというワークショップがおこなわれました。

 

『カラーチェイサー』にはふたつのセンサーがついており、一つのセンサーが黒い線を検出し、追いかけながらタイヤを走らせ、もう一方のセンサーが色をRGBデータとして読み取り、音として奏でるというもの。色によって音は変わり、長さや組み合わせを変えていくことで様々なメロディを奏でることができるようになっているのです。

 

子供たちはまず黒ペンで、道を作り、そこに色を重ねていきます。遊びかたはさまざまで、人や物の絵を取り混ぜてみる子や、几帳面にブロック状に塗る子もいたりと、それぞれの個性が反映される様子。カラーチェイサーが途中壊れるというハプニングもあったものの、現場で修理をおこなうアーティストに、お父さんたちから技術的な質問が飛び交うという「Family Day」ならではの光景も。

 

『カラーチェイサー』への子どもたちの反応は、大人と異なるところはあるのだろうか。「楽器の使い方なども同じことがいえると思うんですが、ポテンシャルが意外なところで引き出されることが多々あります。例えば今日はいわれた通りの絵を描かずに、宇宙船を黒い線だけで描いて、緑の宇宙人が所々にちりばめる、という絵を描いていた子がいました。カラーチェイサーが通ると音がして、宇宙人発見、というように遊んでいましたね。それほどまっすぐでない線でも意外とうまく走れることも、子供たちの使い方で初めて気づかされました」。とスズキ氏。アーティスト本人も子供たちと直にふれあうことで、双方向の学びの場となるワークショップであったようだ。

 

「Family Day」は予約なしで参加可能だが、常連の親子連れもたくさんいるのだそうだ。アートが決して特別なものではなく、日常の一部となっている、ロンドンらしいイベントといえよう。

February 28,2012

急なカーブも得意なカラーチェイサー。

カラーチェイサーを走らせ、塗って、また走らせて、と実験する子も。

こちらはかなり几帳面な印象です

途中で故障したカラーチェイサーを修理するスズキ氏。こんな時間もまた訪れる人とのコミュニケーションのきっかけとなります。

こちらがカラーチェイサーの内部。黒い線用センサー、そして色データ用のセンサーがひとつずつついています。